モダン建築の巨匠・山田守設計の校舎群

2016年12月12日掲載

学校建築の常識を破った学園のシンボルX字、Y字型校舎

戦後の苦難の時期を乗り越え、1955年東海大学は建学の地である静岡県清水市(当時)から東京都渋谷区富ヶ谷に移転し、新しい時代の一歩を踏み出しました。これが現在の東海大学代々木キャンパスです。新校舎の建設が直ちに進められ、1号館(現・法人本部棟)に続き1958年には2号館が完成しました。いずれも、当時、学園理事だった山田守教授による設計です。山田理事は逓信省時代の創立者・松前重義の先輩で、日本のモダニズム建築運動の先駆者の一人。聖橋(東京都千代田区・文京区)、日本武道館(東京都千代田区)の設計者として知られています。

完成した2号館は中央の塔の上に、当時試験放送を進めていたFM放送のアンテナを設置し、しかもⅩ字型校舎というユニークなものでした。明治以来、日本の学校建築は「南側教室北側廊下」の画一的な箱型のものがほとんど。一方、X字型校舎は南北軸に対して45度に建物が交差するためすべての壁面に日照があり、通風や眺望もよいという利点があり、その斬新なデザインは大きな注目を集めました。

山田理事はその後湘南キャンパス(神奈川県)建設の指揮をとり、X型と同じ思想によるY字型の1号館をはじめ本学園のシンボルとなる建物を数多く残しています。なお、湘南キャンパスの建築群は近代建築の記録と保存を目的とする国際学術組織「DOCOMOMO」(本部:フランス・パリ)の日本支部が選定する「日本におけるモダン・ムーブメントの建築135選」に選ばれています。

DOCOMOMO=International Working Party for Documentation and Conservation of buildings, sites and neighborhoods of the Modern Movement

代々木キャンパス。X字型校舎が2号館
湘南キャンパスに建立されている山田守先生像
モダニズム建築の秀作として注目される湘南キャンパスの2号館
関東大震災後の復興橋梁の一つとして1927年完成した山田守設計「聖橋」