総合大学の理想像をめざして医学部開設

2017年8月29日掲載

名医より良医の育成をモットーに新しい医学教育

東海大学は、1960年代に自然科学、人文科学、社会科学にわたる8つの学部を擁し、総合大学への道を邁進していました。そうした中で創立者・松前重義は、かねてより医学部の開設を宿願としていました。人間存在の根源に関わる医学は高度な科学の成果と人間への愛を融合することで成果を得られる領域であり、あらゆる英知を結集できる総合大学においてこそ真価を発揮できると考えていたからです。

医学部や医科大学の設立は、戦前から国公立大学に偏っており、私立の総合大学で医学部をもつ大学は1970年以前では2校しかありませんでした。また高度経済成長の中で、疾病構造の変化や従来の講座を中心とした医学教育には課題が山積していました。こうした中で、1974年、ヒューマニズムと科学の調和を掲げ、9番目の学部として神奈川県伊勢原市に医学部を開設、翌年には医学部付属病院が開院しました。

医学部と付属病院は、同じ建物の中に置かれ、校舎と病院が一体となり教育と臨床の連携を図る画期的な環境が整えられました。医学部は「名医より良医を」「病気を診るより人を診よ」といった教育方針のもと、これまでにない医学教育を展開。特に、開設当初より臨床を重視した実践的カリキュラムを導入し、1988年には医学部独自のCOS(Case Oriented System)という問題解決型カリキュラムを、1997年からは診療参加型臨床実習(クリニカルクラークシップ)を他にさきがけて導入したほか、医局講座制を廃止し、一元管理による一貫した教育指導体制を築きました。また、1988年には多様な人材に門戸を開く学士編入学制度をいち早く導入するなど、常に国内の医学教育のさきがけとして道を切り開いてきています。

医学部校舎・事務所開所式(1974年)
開設当時の医学部本館・医学部付属病院(1975年)
医学部開設10周年を記念し看護介助ロボットを公開実験(1984年)
診療参加型の臨床実習を他にさきがけて導入