生活科学の視点で戦後の国民生活の復興を目指す

2017年9月29日掲載

学部を超えた境界領域を探求する教養学部

1968年開設の教養学部は、戦後、新制大学がスタートして以降、初めて教養学部として認可された学部です。しかし1967年当時、創立者松前重義は、人文・社会・自然科学を横断する総合的な領域の探究を目指す生活学部の開設を構想していました。これに対し、当時の文部省は、生活学部の内容が従来の枠組みにないため、教養学部の設置基準に最も近いという理由で、教養学部としての認可になったのです。

松前が、他大学に先駆けて生活学部を構想した背景には、本学園の歴史の源流ともいうべきデンマークの国民高等学校の教育がありました。松前は昭和のはじめ(1933~1934年)、逓信省の若き技官としてドイツ留学した折、デンマークに立ち寄り、国民高等学校の教育を見学し大きな感銘を受けました。そこに学ぶ人たちは、生活の経済的仕組みから生活と資源の関係に至るまで、生活を科学的にとらえるとともに、世界の中に自国を位置づけることで社会の活力を生み出そうとしており、日本のように資源に恵まれない国が国民生活をどのように確立していくかというモデルとして注目すべきものでした。こうした経験を踏まえて松前は、戦後の国民生活の復興には、生活科学の視点が重要であると説きました。それが総合大学の基盤に立って生活を科学化できる人材を育成する学部の開設へとつながったのです。現在教養学部は、人間環境学科(自然環境課程・社会環境課程)、芸術学科(音楽額課程・美術額課程・デザイン額課程)、国際学科の3学科構成となっていますが、生活学部が目指した総合的な視点で社会生活や国際社会を探究する理念は、今も継承されています。

生活科学科のコンピュータを使った消費者行動の分析実習(1979年頃)
人間環境学科(自然環境課程)の実習