総合大学の英知を結集し人類の課題に挑戦

2017年6月26日掲載

産官学連携とプロジェクト研究をいちはやく

逓信省(現・総務省)の技官だった創立者・松前重義は、明瞭な音声で長距離通話を可能にし、世界中を結ぶことができる新しい通信方式(無装荷ケーブル通信方式)の研究開発のチームリーダーでした。海外の技術輸入に頼らず、すべて国産技術によって完成させることを目指し、民間の活力と大学の研究成果を生かした産官学協同のプロジェクト研究を推進、1937年に新しい通信システムの開発に成功したのです。

松前はこうした経験から、科学技術の発展には異なった分野の英知を結集する学際的な研究体制が不可欠として、学校法人東海大学では総合大学としての機能をより有機的に連携させるため、1976年、学部と研究所・研究センターを有機的に結合させて研究・開発・運営の統合化を図る総合研究所機構(1978年総合研究機構)を発足させ、プロジェクト研究や産官学協同研究にいちはやく取り組みました。これに先立ち、1966年には知的財産権取扱いに関する規程を設け、研究者の支援と研究成果の積極的な還元を図りました。これは1999年に文部省(現・文部科学省)が知的財産整備事業に取り組む30年以上も前のことで、他にさきがけて研究環境の整備に取り組んできたのです。

2016年よりこうした機構の運営は、研究推進部に受け継がれ、学部横断型の組織的研究プロジェクトとして「研究の峰」が発足し、世界をリードする研究成果の発信を目指しています。例えば「災害・環境変動監視を目的としたグローカル・モニタリング・システムの構築による安全・安心な社会への貢献」の研究は、リモートセンシングなど本学独自の研究を基軸とした学際的・全学的な特色ある取り組みとして評価され、文部科学省の「私立大学研究ブランディング事業」に選定され、5か年計画で事業が進められています。

本学のプロジェクト研究のさきがけとなったバルカン・小アジア調査隊(1972年)
医学部に帝人株式会社による寄付講座「在宅医療科学」を設置、本格的な研究と人材を育成(1997年)
東京ビッグサイトで開催された「産学パートナーシップ創造展」に出展(2016年)