本学建築都市学部建築学科の山川智教授らが参画する研究グループ 大規模病院のZEB化に向けた「熱の動きをデザインする」熱源省エネ技術の実証 ~「2022年度省エネ大賞」省エネ事例部門 省エネルギーセンター会長賞受賞~

2022年12月23日

東海大学[湘南校舎]建築都市学部建築学科の山川智教授らが参画する研究グループは、「大規模病院のZEB化に向けた「熱の動きをデザインする」熱源省エネ技術の実証」のテーマで、他者の模範となる優れた省エネの取り組みなどに贈られる「2022年度省エネ大賞」(主催:一般財団法人省エネルギーセンター)の「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました(代表者:日本ファシリティ・ソリューション株式会社、共同受賞者:北海道厚生農業協同組合連合会、株式会社久米設計、芝浦工業大学、東海大学)。

業務分野の建物では、事務所用途を中心に多くの省エネ対策が取られ、省エネが大きく進展していますが、病院用途では十分には進んでいないのが実情です。また、大規模病院の多くは「災害拠点病院」に指定されており、省エネ化でエネルギー消費量を半減できれば、3日間とされている災害時の機能維持期間を倍の6日間に伸長できるため、被災地の医療体制維持に大きく貢献します。こうした状況に鑑み、同研究グループは大規模病院におけるエネルギー消費量を構造的・抜本的に削減し、全国の病院に水平展開可能な省エネ技術を着手し、開発・実証しております。この研究の舞台となったのは、北海道十勝地方の地域医療の中核を担う災害拠点病院として、2018年11月に新築移転された帯広厚生病院(北海道厚生農業協同組合連合会運営、延べ床面積66,609㎡、病床数651床)です。

同研究グループは一般的な大規模病院における「病院特有のエネルギー使用形態」を分析した上で、年間を通じて発生する冷房・暖房負荷や大気への放熱といった「熱の動き」に着目し「熱の動きをデザインする」新技術を開発。冷房に伴う排熱を集中熱源化によって集め、外に放熱せずに回収し、暖房から給湯まで多段階に熱を徹底利用する熱回収システムを帯広厚生病院に導入しました。本システムの導入により、エネルギー使用量の10%削減を達成し、さらに運用改善によって毎年2%の削減を継続しています。札幌市内の大規模病院と比べ、一次エネルギー消費量原単位は15%小さく、省エネに極めて効果的であることも確認しました。こうした成果が評価され、今回の受賞に至りました。

 

本学では、総合学園としてのリソースを活用し、集いと交流をとおして教育・研究の成果を広く社会に還元し、よりよい社会づくりに貢献したいと考えています。今回の山川教授らの研究も、本学のこうした考え方を体現するものです。

<本件に関するお問い合わせ>
東海大学 ビーワンオフィス 担当:喜友名、林
TEL.0463-63-4670(直通) E-mail:pr@tsc.u-tokai.ac.jp

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