明治保有の乳酸菌 Lactobacillus paragasseri OLL2716 株を含むヨーグルトの継続摂取が胃酸分泌抑制薬や低用量アスピリン服用に伴う腸内フローラの乱れを改善する可能性を示唆 ~6 月 23 日 国際学術誌「Digestion」に論文掲載~

2026年07月15日

 株式会社 明治と東海大学医学部付属八王子病院の共同研究グループは、明治保有の乳酸菌「Lactobacillus paragasseri OLL2716 株※1」を含むヨーグルト(以下、OLL2716 株を含むヨーグルト)の継続摂取が、胃酸分泌抑制薬(以下、ASAs※2 や低用量アスピリン(以下、LDA※3 服用者の腸内フローラの乱れを改善する可能性を示しました。当研究成果は、2026 年 6 月 23 日に国際学術誌「Digestion」に掲載されました(doi:10.1159/000552916)。またこれまでに第 78 回日本栄養・食糧学会大会(開催期間:2024年 5 月 24 日~26 日)においても本研究の一部成果を発表しました。

https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2024/0724_01/index.html)。

 

【研究成果の概要】

 ASAs 服用者(以下、ASAs 群)ASAs LDA 服用者(以下、ASAs+LDA 群)、両剤非服用者(以下、対照群)を対象に、OLL2716 株を含むヨーグルト摂取前後の便中の腸内フローラを調べました。また、LDA による小腸粘膜傷害との関連を検討するため、摂取前における小腸の腸内フローラも解析しました。

① 便中の腸内フローラでは、ASAs 群あるいは ASAs+LDA 群の腸内フローラは対照群の腸内フローラと有意に異なっていた一方、OLL2716 株を含むヨーグルトを継続摂取後の 3 群の腸内フローラに有意な差は認められませんでした。OLL2716 株を含むヨーグルトは ASAs 群あるいは ASAs+LDA 群の腸内フローラを改善する可能性が示唆されました。

② 小腸の腸内フローラでは、Enterobacteriaceae(腸内細菌科細菌)※4 の相対存在量が多いことが認められました。また、OLL2716 株を含むヨーグルトを継続摂取した結果、ASAs 群において便中の Enterobacteriaceae の相対存在量が有意に減少することが示されました。

 

【研究成果の活用】

 本研究成果は、OLL2716 株を含むヨーグルトが、Enterobacteriaceae の増加に代表される腸内フローラの乱れを改善する可能性を示すものです。今回の研究成果をさらに発展させ、商品設計に活かせるよう今後もさらなる研究を進めていきます。

 

 【研究の目的】

 LDA は脳血管疾患や心血管疾患の予防に広く用いられていますが、胃や小腸の粘膜傷害を引き起こすことがあります。そのため、胃粘膜傷害の予防を目的に ASAs が併用されることがあります。一方、小腸粘膜傷害には胃酸以外の要因も関与すると考えられており、その一つとして腸内フローラの乱れが関わっている可能性があります。共同研究グループはこれまでに OLL2716 株を含むヨーグルトの摂取がアスピリン起因性の小腸粘膜傷害を改善することを報告しています。

 本研究では、そのメカニズムの一端として OLL2716 株を含むヨーグルトの摂取が腸内フローラの乱れを改善している可能性を検証するため、便中および小腸の腸内フローラを解析しました。

※1 Lactobacillus paragasseri OLL2716 株:Lactobacillus gasseri OLL2716 株と同じ乳酸菌ですが、国際的な分類再編により菌種名が変更になりました。

※2 胃酸分泌抑制薬:胃内において胃酸の分泌を抑える薬のことです。

※3 アスピリン:解熱鎮痛作用や抗血栓作用を有する薬で、広く使われています。

※4 Enterobacteriaceae:腸内細菌科とも呼ばれ、大腸菌や赤痢菌、サルモネラ菌などを含む細菌群を示します。

 

論文内容

【タイトル】

低用量アスピリンおよび胃酸分泌抑制薬服用患者における、プロバイオティクス Lactobacillus paragasseri OLL2716 株による腸内フローラの乱れの改善

Restoration of gut microbiota dysbiosis by a probiotic Lactobacillus paragasseri OLL2716 in patients being treated with low-dose aspirin and acid-suppressive agents

【方法】

ASAs 服用者(ASAs 群)、ASAs LDA 服用者(ASAs+LDA 群)、両剤非服用者(対照群)を対象に、OLL2716 株を含むヨーグルト 112 mL 6 週間毎日 2 本摂取していただきました。摂取前後で便を採取し、便中の腸内フローラ解析を行いました。また、摂取前についてのみ内視鏡により小腸の洗浄液を採取し、小腸の腸内フローラ解析を行いました。

【結果】

対照群 18 例、ASAs 群 17 例、ASAs+LDA 群 16 例を便の腸内フローラの解析対象としました。その内、ASAs+LDA 群の 2 例を除き、小腸の腸内フローラの解析対象としました。

・便中の腸内フローラについて Bray-Curtis 非類似度に基づく主座標分析の結果、OLL2716 株を含むヨーグルト摂取前は対照群と ASAs 群、対照群と ASAs+LDA 群で腸内フローラの構成に有意な差が認められました。一方、OLL2716 株を含むヨーグルト摂取後はそれらの群間での有意差は認められませんでした(図 1)。

OLL2716 株を含むヨーグルトの継続摂取により、ASAs 群において便中の Enterobacteriaceaeの相対存在量が有意に減少することが示されました(図 2)。

・小腸の腸内フローラでは、Enterobacteriaceae の相対存在量が多いことが認められました(図 3)。ASAs+LDA 群での Enterobacteriaceae の相対存在量の中央値は、25.45%であり、対照群(7.74%)や ASAs 群(9.10%)よりも大きい値を示しました。

 

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【考察】

 本研究の結果は、OLL2716 株を含むヨーグルトが Enterobacteriaceae の増加に代表される腸内フローラの乱れを改善する可能性を示唆するものです。本菌に代表されるグラム陰性細菌が、アスピリン起因性の小腸粘膜傷害の増悪因子のひとつと考えられています。今後、これらの知見を基に LDA 起因性の小腸粘膜傷害に対する新たな予防・軽減策の開発が期待されます。

 

 

【この件に関するお問い合わせ先】

株式会社 明治 広報部

〒104-0031    東京都中央区京橋 2-4-16   TEL:03-3273-0700

メールアドレス:meiji.kouhou@meiji.com

 

東海大学医学部付属八王子病院    事務部事務課(総務係)

192-0032   東京都八王子市石川町 1838電話:0570-000-802(ダイヤルイン)

E-mail:hachioji-jimu@tokai.ac.jp

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