ここから本文です
【スタートアップ創出プログラム採択】 重症心不全や突然死を引き起こす指定難病「肥大型心筋症」の新規治療法開発プロジェクト 「GTIE Gap ファンドプログラム」 ステップ2(エクスプロールコース3年)に採択 ~生体内の新規心肥大抑制因子を活用 大学発スタートアップ設立を通じ、新規治療薬の実用化を目指す~
2025年10月28日
東海大学[伊勢原キャンパス]医学部医学科基礎医学系生体機能学領域の林 丈晴〔はやし たけはる〕教授を代表者とする研究グループは、指定難病の肥大型心筋症に対する新規治療薬の開発を進めており、2025年10月20日、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「GTIE Gap Fund Program」*ステップ2(エクスプロールコース)に、「指定難病である心筋症の新規治療薬の提供に向けて」の研究テーマで採択されました。
|
ポイント ● 難治性心不全を呈する心筋症に対する新規治療法の提供に向けたプロジェクトが始動 ● JST「GTIE Gap Fund Program」ステップ2(エクスプロールコース)に採択 ● 三菱UFJキャピタル株式会社と連携しスタートアップを創出、治療薬提供を目指す |
■プロジェクトの概要
本研究プロジェクトの代表者である本学医学部医学科の林丈晴教授は、発見した生体内の新規心肥大抑制因子を活用し、肥大型心筋症に対する新しい治療薬の開発を進めており、2024年度には「GTIE Gap Fund Program」ステップ1(エントリーコース)に採択されました。今回は同ステップ1での成果を基盤とした事業化段階への進展が高く評価され、三菱UFJキャピタル株式会社(三菱UFJキャピタル)を事業化推進機関としてステップ2(エクスプロールコース)の採択が決定しました。
現在は、三菱UFJキャピタルとの連携のもと、大学発スタートアップの設立および新規治療薬の早期実用化を目指し、本学を中心に国内4大学による共同研究グループを形成して臨床応用に向けた橋渡し研究を推進しています。
■背景
難治性心不全の主な原因の1つである肥大型心筋症は、約500人に1人が発症する心筋疾患です。若年層における心臓突然死の最大の原因とされており、国の指定難病にもなっています。一部の患者では病状が進行して拡張相へ移行し、心臓の機能がさらに低下して重症心不全を引き起こすことがあり、生命の危険が高まります。肥大型心筋症の患者数は国内で約20万人、世界では1,600万人以上に上ると推定されていますが、現在の治療は対症療法が中心で、病気の進行を抑える有効な治療法は確立されていません。そのため、安全かつ根治的な新規治療法の開発が急務となっています。
■研究内容
本研究グループは、心筋症の原因を明らかにする研究を進める中で、生体内に新規の心肥大抑制因子を発見し、その作用機序を解明しました。さらに、この因子が心筋症モデル細胞およびモデル動物において心機能を改善することを明らかにしており、これらを制御する新たな分子メカニズムの理解が深まりました。現在は、この因子を応用した心筋症治療製剤の開発を進めており、臨床治験への橋渡しを目指して研究を推進しています。
■今後の展開
本研究プロジェクトでは、GTIE Gap Fundの支援を受けて、新規の心肥大抑制因子を基盤とした治療製剤の最適化、および最適化製剤を用いた心筋症モデル動物への有効性・安全性を評価します。さらに、三菱UFJキャピタルとの連携のもと、事業化計画を策定し大学発スタートアップの設立を進めます。
今後は、グローバル企業との協業も視野に入れ、新規治療薬の社会実装を加速させていきます。また、研究成果に関する国際特許出願を通じて米国および欧州での展開も進めており、大学発スタートアップを通じ、世界の心筋症患者に新たな治療薬を届けることを目指します。
代表者の林丈晴教授は、「基礎研究の成果を社会へ橋渡しし、心筋症の新しい治療法を世界中の患者さんにできるだけ早く届けられるよう、生命予後の改善につながる新規治療薬の実現を目指します」と述べています。
Greater Tokyo Innovation Ecosystem(GTIE:ジータイ)について
東京大学、早稲田大学、東京科学大学を主幹機関とした、"世界を変える大学発スタートアップを育てる"プラットフォームです。首都圏を中心とした18大学と3つのスタートアップ支援機関、地方公共団体、ベンチャーキャピタル、コーポレートベンチャーキャピタル、アクセラレーター、民間企業などが結集し、東京圏(Greater Tokyo)におけるスタートアップ・エコシステムの形成を目指して2021年に設立されました。
<用語解説>
*「GTIE Gap Fund Program」:GTIEプラットフォーム に参画する大学の革新的技術シーズを核に、グローバル市場への展開を目指す大学等発スタートアップや、SDGsの達成にも資する社会的インパクトの高い大学発スタートアップを創出するため、GTIEの主幹機関またはスタートアップ創出共同機関に所属する大学等の研究者の研究開発課題を支援するプログラム。
GTIEは事業化に必要な研究開発に関わる活動に公的資金を提供し、課題終了時を目処に民間資金を活用しながら大きく成長するスタートアップ企業の創出を目指しています。このプログラムには、エントリーコース(1年未満)、海外市場開拓実践コース(1年)、エクスプロールコース(2年または3年)の3コースがあります。
|
<本件に関するお問い合わせ> <東海大学 学長室GTIE担当> E-mail:ei-tokai@tokai.ac.jp 三菱UFJ キャピタル株式会社 E-mail:start-promoter01@mucap.co.jp |

