北大西洋と西インド洋で新種の深海性魚類を発見 Bassozetus nielseni(英名:Masked assfish)と命名 ~標本を3月3日(土)~4月8日(日)の期間、東海大学海洋科学博物館で特別展示~

2018年02月28日

Bassozetus nielseni Tomiyama, Takami and Fukui 2018,完模式標本(スミソニアン国立自然史博物館所蔵,USNM 206928),標準体長541mm(♀)
東海大学海洋学部の冨山晋一(博物館 学芸員)、髙見宗広(水産学科 非常勤講師)、福井篤(水産学科 教授)の研究グループは、北大西洋と西インド洋の水深3,155m~5,440m地点で新種の深海性魚類を発見し、Bassozetus nielseni(英名:Masked assfish)と命名しました。
なお、この新種の研究論文および命名については、2018年2月20日(火)に日本魚類学会発行の学会誌『Ichthyological Research』(電子版)に掲載されました。
Bassozetus nielseniはアシロ科フクメンイタチウオ属の一種です。本種は、以前は西太平洋に分布するオオリンフクメンイタチウオB. compressusと混同されていました。しかし、本研究により、鰭条数や脊椎骨数などの計数形質、頭長や尾部長などの各体長比、扁平石の形状、鰭の色彩などが、すでに知られている同属の13種と異なる新種と判明しました。
Bassozetus nielseniは、体長615 mmに成長し、500mm以上に成長すると雌雄の形態がやや異なります(性的二型)。
東海大学海洋科学博物館(静岡県静岡市清水区三保2389)では、本研究の成果と貴重なBassozetus nielseniの標本を、3月3日(土)~4月8日(日)まで特別展示いたします。

論文タイトル:A new deepwater assfish, Bassozetus nielseni sp. nov. (Ophidiiformes; Ophidiidae), from the North Atlantic and West Indian oceans.(北大西洋および西インド洋から採集された深海性アシロ科魚類の1新種Bassozetus nielseni)
著    者:TOMIYAMA Shinichi, TAKAMI Munehiro, FUKUI Atsushi
掲  載  誌:『Ichthyological Research』電子版、論文(http://rdcu.be/Htyu)DOI:10.1007/s10228-018-0620-0

■研究者略歴
◇冨山 晋一(とみやま しんいち) 東海大学海洋学部博物館業務課 学芸員 (専門分野 魚類学)
 研究テーマ:深海性魚類の分類学的研究、駿河湾の魚類相研究
 研究 内容:◆大学や博物館等が所蔵する標本の調査によって、アシロ科やボウエンギョ科などの新種や日本初記録種を報告している。
       ◆標本収集と過去の知見の整理による駿河湾産魚類の目録作りを進めている。
 所属 学会:日本魚類学会、日本生物地理学会、日本分類学会

◇髙見 宗広(たかみ むねひろ) 東海大学海洋学部水産学科 非常勤講師 (専門分野 魚類学)
 研究テーマ:深海性魚類の分類学的研究、駿河湾の深海性魚類相に関する研究
 研究 内容:◆深海域の調査や博物館等における標本調査によってセキトリイワシ科、アシロ科、クロボウズギス科などの
        未記載種や日本初記録種を発見し、記載報告している。
       ◆大学の調査船、底曳網漁、遊漁船などに乗船し、様々な方法で深海性魚類を収集している。
 所属 学会:日本魚類学会

◇福井 篤(ふくい あつし) 東海大学海洋学部水産学科生物生産学専攻 教授 (専門分野 魚類学、資源生物学)
 研究テーマ:海産魚類の個体発育と体系学(初期生活史や深海性魚類の分類学的研究)
 研究 内容:◆外洋性の仔稚魚の個体発育や中深層性魚類の分類
        北西太平洋外洋域に出現するダルマガレイ科などの外洋性仔稚魚の形態、発育を明らかにしている。
        仔稚魚の研究過程で、ダルマガレイ科、デメニギス科、およびハダカエソ科などの計7種の新種記載を行っている。
       ◆駿河湾の中深層性魚類および深海底棲性魚類の分類と形態
        駿河湾陸棚斜面の近底層および駿河トラフにおいて、仔稚魚から成魚までを採集できる方法を開発し、
        小型舟艇の「北斗」や海洋調査研修船「望星丸」を用いて、調査を実施。
        今まで知見がほとんどなかったソロダラ科やセキトリイワシ科などの個体発育を明らかにしている。
        その過程で、約7種の日本初記録を報告している。
       ◆駿河湾産サクラエビの資源量モニタリング
        コホート解析によって、駿河湾における1998年級以降のサクラエビの加入量を推定し、モニタリングしている。
 担当授業科目:魚類学、生物統計学、資源生物学、海洋実習IIIなど
 所属 学会:日本魚類学会、水産海洋学会、日本水産学会
 論文・著書:「Early ontogeny and systematics of Bothidae, Pleuronectoidei.」「日本産稚魚図鑑第2版 沖山宗雄編」東海大学出版会

■本件に関するお問い合わせ
学校法人東海大学 経営企画室広報課
TEL:03-3467-2211(代表)
FAX:03-3485-4939
mail:pr@tokai.ac.jp


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