西伊豆町でしか製造されなくなった伝統食「塩鰹」を使った塩飴を開発 ~国立歴史民俗博物館や県内企業との連携で食文化継承に貢献、9月28日(火)から販売開始~

2021年09月22日

東海大学海洋学部水産学科食品科学専攻では、西伊豆町の田子地区でしか製造されなくなった静岡県の伝統食「塩鰹(しおかつお)」を利用した新商品「塩カツオDE塩分チャージ」(塩飴)を開発しました。9月28日(火)13:00より「飴元 菊水」(静岡県賀茂郡西伊豆町仁科802-4)にて販売いたします。

【開発の背景】
 「塩鰹」は、鰹を長期保存するために、丸ごと塩に漬け込み、乾燥して製造される塩蔵品です。「正月魚(しょうがつうお)」とも呼ばれ、縁起物として神棚へ供えられてきました。船主の家では乗り初めの際、神社に塩鰹を供え、その御下がりの塩鰹を船員へ振る舞うことで今年一年の契約とする慣わしもあったようです。平安時代に編纂された「延喜式」にも登場し、平安京に献納されていたことが記されています。幕末には庶民料理番付の前頭に記載されるほど、庶民に親しまれていました。かつては伊豆半島の全域で作られていましたが、交通網やコールドチェーンの発達に伴って需要が減り、現在は神事として塩鰹を供える文化が残る西伊豆町の田子地区でしか製造されていません。

【商品化までの経緯】
  2019年、こうした食文化を継承するとともに、新たな観光資源を活用して西伊豆の地域振興を図ろうと、塩鰹を用いた商品の企画・開発に着手しました。商品化を開始するにあたり最初に行ったのが、国立歴史民俗博物館との連携による塩鰹の歴史や製法などの文献調査でした。並行して、塩鰹に含まれる成分の分析を進めたところ、生鰹に比べて20倍以上の高い塩分を含むことがわかりました。この塩分を生かすとともに、伊豆の観光客数が夏場に多いことも考慮した商品形態を検討した結果、熱中症対策にもなる塩飴に決定。主とする購買層は「伊豆に観光で訪れる50~70代の女性」に設定しました。
製造にあたっては、延べ400人以上のボランティアに試食・アンケートを実施。その結果をもとに改良を重ね、ほのかなカツオの香りを感じつつ、強すぎない塩分量に調製することで、購買ターゲット層が“どこか懐かしい味”に感じる塩飴「塩カツオDE塩分チャージ」が完成しました。飴1個あたりの食塩相当量を約0.06グラムにすることで、熱中症対策としても活用いただけるよう工夫しました。また、商品パッケージのデザインは、静岡県立駿河総合高等学校の生徒が考案。販路については静岡県経営管理部地域振興課と連携し、製造を担当した「飴元 菊水」のほか、10月には駿河湾フェリー船内で開催される「西伊豆町フェア」での販売も計画されています。

本学では、教育・研究の成果を広く社会に還元し、より良い地域社会づくりに寄与していきたいと考えています。本取り組みも、そうした本学の考えを具現化するものです。

■開発代表者のコメント
東海大学海洋学部水産学科食品科学専攻 准教授 清水宗茂(しみず むねしげ)
今回は、鰹の栄養と塩分の補給が可能な商品に仕上がったと思います。消滅が危惧される塩鰹の食文化を残してゆくには、塩鰹について認知を広めることが不可欠です。そのため商品ラベルには、QRコードを記載することで、塩鰹に関する詳細な情報を得られるよう工夫しています。
特定の地域に残る食文化を継承するためには、その食品の歴史的背景を踏まえ、ツールとしての商品開発を含む情報発信が必要です。大学生を主体とした商品開発のほかにも、地元の小・中学校などの給食の献立に使用し、食育を行うなどのアプローチを継続して行っていくことが重要だと考えています。


■販売概要
販売開始日時 : 9月28日(火)13:00~
販売場所 : 飴元 菊水(静岡県賀茂郡西伊豆町仁科802-4)
※プロジェクトに関わった学生による店頭販売も行われます


■商品概要
商品名 : 塩カツオDE塩分チャージ
製造元 : 飴元 菊水
価格 : 500円〔17~19粒入り〕(消費税込)


■連携・協力先
静岡県立駿河総合高等学校(商品開発の助言、高校生への調査、商品パッケージのデザイン考案)、株式会社田子丸(材料提供)、国立歴史民俗博物館(伝統食調査)、カネサ鰹節商店(材料提供・販売)、静岡県経営管理部地域振興課、西伊豆町役場まちづくり課 ほか

■本件に関するお問い合わせ
東海大学スルガベイカレッジ静岡オフィス
企画・広報担当:山本、柴田、逆井
TEL.054-337-0144

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