安全・快適な入浴に誘導する浴室用デバイスや入浴ナビゲート・システムのイメージを「世界温泉地サミット」〔5月26日(火)、大分県別府市〕にて発表

2018年05月16日

<Yu-naviプロジェクト概念図>
東海大学海洋学部の斉藤雅樹教授、坂上憲光准教授らは、入浴による“日本人総健康化”を目指す共同プロジェクトにおいて、浴槽水の温度や気温などの入浴環境データと、心拍数や血圧などの生体データをそれぞれ専用の機器を使って収集し、それらのデータを医学的知見に基づいて評価することで適切な入浴に誘導する新しいシステム「Yu-navi(ユーナビ)」の開発を進めており、来る5月26日(土)に大分県別府市で開催予定の「世界温泉地サミット」内で、その基本構想と機器のプロトタイプ(実機)を公開いたします。

「Yu-navi」の開発は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)・未来社会創造事業の「世界一の安全・安心社会の実現―ヒューメインなサービスインダストリーの創出」領域において採択された研究課題「自発・自律型エビデンスに基づくBathing Navigationの実現」(研究代表:東京都市大学人間科学部 早坂信哉教授、2017~2018年度)の一環として進めているもので、東京都市大学、株式会社博報堂、株式会社APCとの協働により実施しております。

■「おんせん県おおいた世界温泉地サミット」開催概要
開催期間:2018年5月25日(金)~27日(日)
※本件は、26日(土)開催「Ⅲ分科会」(13:00~16:00)の中の「分科会②医療・健康・美容」にて発表予定です
会  場:別府国際コンベンションセンタービーコンプラザ
    (所在地:大分県別府市山の手町12番1号)
参 加 者:約500名(海外招請自治体、全国温泉自治体関係者等)
主  催:世界温泉地サミット実行委員会
    (事務局:大分県企画振興部 観光・地域局観光・地域振興課内)
後  援:経済産業省、国土交通省、観光庁、環境省、外務省、日本政府観光局、
(予定) ジェトロ、日本観光振興協会、国際交流基金、JICA

■研究の背景
・入浴に関連した事故死は年間19,000人と推定され、交通事故死の数倍にものぼります。
シートベルト義務化などで交通事故死が減少する一方で、入浴事故死への対策は個人の自覚まかせになっており、これまで決め手がありませんでした。
・過度に高温な湯への入浴や長時間の入浴など、不適切な入浴を防ぐ「入浴の〝シートベルト″」の実現を目指します。

■開発するデバイスのイメージ
①入浴環境データを収集するデバイス
A.家庭の浴槽用「fuuron(フーロン)」(株式会社博報堂との協業)
海の生物のような親しみやすい形のデバイス第一弾。浴槽水の温度を測定し、適切な入浴時間の長さをユーザーに通知。利用者のスマートフォンとBluetooth連携し、記録や管理機能を有します。このプロトタイプ(実機)を5月26日の「世界温泉地サミット」にて公開。
B.温泉施設用
測定項目の多い高機能版で、海洋探査船のイメージ。温泉水の温度、泉質(pHなど)、浴室環境情報(気温など)のほか、GPS位置情報を測定します。利用者のスマートフォンとBluetooth連携、データをクラウド化。体質に合う泉質かを評価し、警告や誘導を行います。この初期版プロトタイプを5月26日の「世界温泉地サミット」にて公開。

②入浴ナビゲート・システム
①の入浴環境データと、ウェアラブルデバイス等から得られる利用者本人の生体データ(心拍数、血圧、血中酸素濃度など)をもとに、医学的知見から入浴の危険度や適性を評価し、本人に通知。過度に高温の湯、不適合泉質の湯への入浴や、長時間の入浴、体調不良時の入浴など危険な入浴行為を警告し、より安全な入浴(適度な温度、泉質、時間など)に誘導する「メッセージ」を、音、光、表示テキストなどで利用者に伝えます。現在、開発中であり、2019年度以降にウェアラブルデバイスへの搭載を目指します。この基本構想を、5月26日の「世界温泉地サミット」で公開。

■関連する事項(医学的知見の収集)
研究の母体である「Yu-navi」プロジェクトの研究代表である東京都市大学・早坂教授が中心となり、市民参加型の研究としてSNS等で発信される入浴の「つぶやき」を自動収集し、入浴方法と体調の変化の関連を解析しています(回答者計3,909人)。これらの「自発型エビデンス」が、従来の温泉医学の知見や、今回の浴室デバイスと生体デバイスから得られる「自律型エビデンス」とともに、入浴の適切さを評価する根拠となります。「自発型」「自律型」の知見は従来の温泉医学に比べて非常に高速で収集・クラウド化されるため、評価精度がますます高まることが期待されます。また、入浴「つぶやき」を多数収集することにより、実験室での既知の結果とは異なる温泉利用 者の主観を集めることができる可能性が示唆されるなど、市民参加型科学研究(シチズンサイエ ンス)と入浴・温泉の分野との相性の良さがうかがえます。

■今後の予定
・入浴データ収集デバイスのバージョンアップ、実用機の開発
・入浴データ、生体データの収集を本格的に開始
・入浴ナビゲート・システムのプロトコル作成。以下から、評価基準となる知見を抽出する。
 □自発型エビデンス:SNS上で温泉・入浴のつぶやきを多数募集。
 市民参加型科学研究(シチズンサイエンス)。
 □自律型エビデンス:自動収集される入浴データや生体データ
 □従来の医学的知見
・入浴ナビゲート・システムのプロトタイプ開発
 □第一弾:クラウド&スマートフォン版
 □第二弾:ウェアラブルデバイス版

■本件に関するお問い合わせ
東海大学 清水事務課 担当:石田・石神
TEL:054-334-6913
「入浴ナビゲートシステム」イメージ図

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